Visaは1万円の決済で15円しか取っていない
カード決済の手数料はVisaが総取りしていると思われがちだが、実際は発行銀行が大半を持っていく。誰が何をして誰が儲けているかを分解した解説。
#なぜ今日これを選んだか
投資を月5,000円から始めることにした日に、これを読んでおきたかった。株を買うというのは「その会社がどこからお金を得ているか」に賭ける行為で、そこを見ずに銘柄名だけで選ぶと、値動きの理由がいつまでも分からない。カードネットワークは名前だけは全員が知っていて、収益構造はほとんど知られていない題材の代表格だった。
#要点
- Visa / Mastercard はカードの発行元でも銀行でも決済処理業者でもない。カード保有者側の銀行と加盟店側の会社をつなぐ「仲介ネットワーク」に徹している
- 仕事は4つ。通信網の運営、銀行同士の調整、利用を促すインセンティブ設計、ルール策定と紛争処理
- 100ドルの決済で発行銀行が約2ドル、Visaは0.15ドル。手数料の大半を取っているのはカードを出した銀行の方
- 高い手数料が銀行のポイント還元の原資になり、還元が利用を増やし、利用が加盟店を増やす。この循環が構造そのもの
- 紛争は600ドルの仲裁料を課すことで当事者間の自己解決を促す。不正の撲滅より取引が回ることを優先した設計
#自分にとっての示唆
「儲けているのは誰か」を分解すると、目立つ名前と稼いでいる主体はしばしば一致しない。Visaは決済額の0.15%しか取っていないのに、その薄さで世界中の取引に乗るからこそ利益が出る。逆に発行銀行は1件あたりの取り分は厚いが、還元合戦の原資に消えていく。
これは投資の話であると同時に、エンジニアとしての設計の話でもある。手数料の配分は、誰にどう動いてほしいかを金額で書いた仕様書だ。600ドルの仲裁料は「揉め事は自分たちで片付けろ」という命令文になっている。インセンティブでシステムを動かすという発想は、コードの外側で効いてくる。
今日やるのは、楽天証券にログインして全世界株のインデックスを月5,000円で設定すること。銘柄を選ぶ前に、その投資信託が誰から何%を取っているのか(信託報酬)を1回だけ確認する。今日読んだ話が、そのまま自分の財布に接続する。